対象者・レベル分け
Claude Code研修の対象者誰を受講させるか決める方法

先に結論です。受講者は「AIに詳しい人」ではなく、業務責任者・実装担当・確認担当の3つの役割が揃うように選びます。この3役が揃わない名簿で申し込むと、研修は完走しても業務が回りません。人数はその次の論点です。
| この記事の対象者 | 人事・研修担当、部門長、DX推進、情シス、受講者を自分で決める少人数企業の経営者 |
|---|---|
| 判断期限 | 受講者名簿は見積り取得の前。人数と役割が決まらないと、日程も演習内容も価格も確定できません |
| 必要資料 | 対象業務の手順、その業務の担当者一覧、各人のPC操作の実態、出力を承認する権限を持つ人の氏名 |
| この記事の成果物 | 3役の定義表、受講前スキル診断の5項目、レベル分けの基準、受講させない方がよいケースの一覧 |
| 見送り条件 | 対象業務が決まっていない、業務を説明できる人が退職予定、出力を承認できる人が社内にいない。この状態では、誰を選んでも成果が残りません |
対象者は「詳しい人」ではなく3つの役割で選ぶ
受講者選定でよくある失敗は、「一番PCに詳しい人を1名出す」です。この選び方だと、研修中に業務の例外を説明できる人がおらず、出力が業務として正しいかを判定できる人もいません。結果として、動くものはできるが誰も使えない状態になります。
選ぶべきは次の3役です。3名別々でも、2名の兼務でも構いません。
| 役割 | 必要な前提 | 研修中に担うこと | 修了時の成果 | 研修後の責任 |
|---|---|---|---|---|
| 業務責任者 | 対象業務の手順と例外を説明できる。範囲を決める権限がある | 題材の決定、例外の提示、合格条件の判断 | 業務設計シート、対象範囲の確定 | 運用の継続可否を判断する |
| 実装担当 | 日常的にPCで文書・表計算を扱う。手順どおりに操作を試せる | 実際に手を動かす。指示の書き方を身につける | 動く仕組み、運用手順書 | 手順を直し、記録を残す |
| 確認担当 | 出力が業務として正しいかを判断できる。承認の権限がある | 受入チェック、差戻し基準の言語化 | 入力可否ルール、受入チェックの結果 | 本番運用で出力を承認する |
兼務の可否には条件があります。業務責任者と実装担当の兼務は問題ありません。実装担当と確認担当の兼務は避けてください。作った本人が正しさを判定する体制は、研修中は成立しても、本番運用で必ず問題になります。Anthropicの公式「Best practices」(2026年8月20日確認)も、作業したもの自身に採点させず、別の視点で確認する仕組みを推奨しています。
この選び方は、Anthropicが2026年6月16日に公開したClaude Codeの実利用調査とも整合します。同社が2025年10月から2026年4月までの約40万セッションを分析した結果、人が計画の判断(何をするか)の約70%を行い、Claudeが実行の判断(どうやるか)の約80%を行うという役割分担が観察されています。何をするかを決められる人、つまり業務を理解している人が必要だということです。
受講前スキル診断の5項目
自己申告だけで選ばないでください。「AIは苦手です」と言う人が実際には最も向いていることがあり、逆もあります。5〜10分で終わる次の5項目を、候補者にその場でやってもらうのが確実です。
| 診断項目 | 確認方法(5〜10分) | 合格の目安 | 不足していたときの対応 |
|---|---|---|---|
| 1. 業務を言葉で説明できるか | 担当業務の手順を、口頭で3分説明してもらう | 入力・処理・出力・例外の4つが出てくる | 業務責任者としては不足。実装担当なら可 |
| 2. 例外を挙げられるか | 「その業務で手が止まるのはどんなときか」を聞く | 具体例が2つ以上出る | 出ない場合、業務の当事者ではない可能性が高い |
| 3. ファイルとフォルダを扱えるか | 指定した場所へファイルを保存し、名前を変えてもらう | 迷わずできる | 事前課題で補う。当日の支援担当を1名付ける |
| 4. 出力の正誤を判断できるか | わざと1か所間違えた集計表を見せ、誤りを指摘してもらう | 誤りに気づく | 確認担当には向かない。実装担当として参加する |
| 5. 文字で指示を書けるか | 「この表から先月分だけ抜き出して」を文章で書いてもらう | 条件が1つ以上明示されている | 研修の前半で扱う内容。不足していても受講可能 |
プログラミング経験は診断項目に入れていません。前述のAnthropicの調査では、主要な職業はいずれも、コーディングタスクで平均するとソフトウェアエンジニアとほぼ同じ成功率だったと報告されています。成否を分けたのはコーディング経験ではなく対象領域の専門性で、初心者水準のセッションの検証済み成功率が15%だったのに対し、中級・上級では28〜33%でした。自社の業務に詳しい人ほど成果が出やすいという結果です。非エンジニアの具体的な活用例は非エンジニアのClaude Code活用にまとめています。
初心者・実装担当・確認責任者のレベル表
診断の結果を、次の3レベルに割り当てます。レベルは優劣ではなく、研修中の支援量と当日の座席配置を決めるための区分です。
| レベル | 診断結果の目安 | 研修中に必要な支援 | 修了時に到達する地点 |
|---|---|---|---|
| A:初心者 | 項目3で手が止まる。項目5が書けない | 画面共有での並走。最初の2時間は操作の手順書を手元に置く | 手順書があれば、決められた業務を自分で実行できる |
| B:実装担当 | 項目3・5は問題ない。項目1で入力と出力を説明できる | つまずいたときの声かけ程度 | 対象業務の仕組みを自分で作り、手順書を書ける |
| C:確認責任者 | 項目2で例外を複数挙げ、項目4で誤りに気づく | 操作より判断の議論に時間を使う | 受入基準と入力可否ルールを自分の言葉で決められる |
Cの人がAの操作水準であることは珍しくありません。経理課長が操作は不慣れでも、出力の正しさは誰よりも早く見抜くという状況です。この場合、Cの人に操作を強いる必要はありません。当日は実装担当の隣に座って判断を担当してもらえば、役割としては十分に成立します。
同じクラスに混ぜてよい差/分けるべき差
「レベルがバラバラだと進行が止まるのでは」という懸念をよく伺います。混ぜてよい差と、分けるべき差があります。
| 差の種類 | 同じクラスで扱えるか | 理由と対処 |
|---|---|---|
| PC操作の速さ | 混ぜてよい | 速い人が待つ時間は、自分の業務の設計に使える。役割を分ければ差は表面化しない |
| 職位(管理職と担当者) | 混ぜてよい | むしろ望ましい。判断と実装が同じ場にいることで、その場で合格条件が決まる |
| 年齢・在籍年数 | 混ぜてよい | 選定基準として使わない。業務との関係だけで選ぶ |
| 対象業務が違う | 分けるべき | 演習の題材が別になり、講師の支援が分散する。1回の研修で扱う業務は1つに絞る |
| 部署が違い、扱うデータの機密区分が違う | 分けるべき | 演習データを同じ場で扱えない。情シスと入力可否ルールを先に決める |
| 受講の目的が違う(実装したい/概要を知りたい) | 分けるべき | 概要を知りたいだけの人は、12時間の実装研修では時間を持て余す。別の場を用意する |
要点は、分けるべき差はレベル差ではなく「題材の差」だということです。同じ業務を扱うなら、初心者と管理職が同席していて問題ありません。部署混成で複数の業務を持ち込みたい場合は、回を分けるか、対象業務を1つに合意してから申し込んでください。人数と実施回数の考え方は少人数のClaude Code研修で扱っています。
職種別ページから研修題材を選ぶ
受講者が決まったら、その人の業務から題材を選びます。当社では職種別に扱える業務の例を公開しているので、名簿と突き合わせてください。
- 経理:請求書の処理、月次集計、差異抽出
- 営業:商談メモの整理、フォロー文案、提案資料の下書き
- 人事:応募者情報の整理、社内文書の更新、問い合わせの分類
- 企画:資料のたたき台、データの整形、社内共有用の要約
- カスタマーサポート:問い合わせの分類、定型回答の下書き、記録の整理
職種の一覧は職種別ページ、業種ごとの事情は業種別ページにあります。題材を選ぶ際は、前述のAnthropicの調査で、2025年10月から2026年4月にかけてデータ分析や文書作成の割合が10%から20%へ倍増したと報告されている点も参考になります。コードを書く用途に限らず、資料作成と分析の比重が上がっています。
なお、受講者の選び方は助成金の判定にも影響しますが、この記事は教育としての適合だけを扱っています。助成対象になる訓練内容と受講者選定の要件は制度側の論点なので、AI研修が助成金の対象外になる条件を必ず別途ご確認ください。2026年8月3日の改正で、訓練内容に沿って対象労働者を選定していない場合は対象外となる旨が明示されています。助成は要件を満たし支給決定された場合の制度であり、支給を保証するものではありません。当社は助成金申請の書類作成・提出を行いません。
受講させない方がよいケース
選定と同じくらい重要なのが、外す判断です。次に該当する場合、その人を名簿から外すか、時期を変えることをお勧めします。
| ケース | 起きること | 代わりの進め方 |
|---|---|---|
| 対象業務を担当していない | 演習の題材が自分のものにならず、研修後に使う場面がない | 対象業務の担当者を出す。概要理解が目的なら別の機会にする |
| 研修期間中に繁忙期が重なる | 途中離席が増え、3時間×4回のうち複数回が実質欠席になる | 日程を後ろにずらす。日程調整は見積り前に行う |
| 近く異動・退職が決まっている | 成果物と知識が社外へ出る | 後任を同席させる。後任が未定なら時期を待つ |
| 演習に使うデータへのアクセス権がない | 当日に作業が止まり、他の受講者の時間も消費する | 研修前に権限を付与する。付与できないなら題材を変える |
| 本人が業務改善に反対している | 研修中の合意形成に時間を取られ、他の受講者の演習が進まない | 研修の前に、業務側の合意を取る場を別に設ける |
最後の項目は、選定基準というより組織の問題です。ただ、これを研修の場で解決しようとすると、12時間のうち相当な時間が説得に消えます。定着に向けた合意形成の進め方はClaude Codeの社内研修と定着のしかたで扱っています。
事前課題と当日の支援設計
初心者(レベルA)が含まれる場合、事前課題を1つだけ出してください。多くの課題を出すと、やってこない人が出て、当日の進行に差が生まれます。
| 事前に済ませること | 所要 | やらなかった場合の影響 |
|---|---|---|
| 対象業務の手順を箇条書きで5行書く | 15分 | 初日の前半を業務の聞き取りに使うことになる |
| 演習に使うサンプルデータを指定フォルダに置く | 15分 | 当日にデータ探しが発生し、実装の時間が減る |
| アカウントとPC環境の準備を済ませる | 30分 | 初回の冒頭が環境構築で消える |
環境準備の具体的な手順と、オンライン実施時の注意点はClaude Codeのオンライン研修にまとめています。当日は、レベルAが2名以上いる場合、講師の巡回だけでは支援が足りないことがあります。社内で操作に慣れた人を1名、支援役として同席させると進行が安定します。この人は受講者としてカウントしても構いません。
操作の基礎だけを学びたい人と、実業務を仕上げたい人の違いについてはClaude Code講習と実務研修の違いで整理しています。名簿を作る前に、どちらを求めているかを確認してください。
45分診断で対象者と題材を仮決めする
3役が揃うかどうかは、業務の中身を聞かないと判断できません。当社の45分の無料AI業務診断では、AIに任せられる候補業務を3つ整理してお渡ししますが、この記事の読者向けには候補業務ごとに必要な3役が社内に揃うかまで一緒に確認します。
申込フォームの「いま一番減らしたい業務」欄には、次の2点を書いてください。
- 業務名:できるだけ工程まで。「経理」ではなく「月次の請求書処理と集計」
- その業務を説明できる人/出力を確認できる人がいるか:いる場合は職位、いない場合はその旨
診断の結果、3役が揃わないと判断した場合は、名簿を作る前に何を決めるべきかをお伝えします。研修をお勧めしないこともあります。診断だけで終えていただいて構いません。診断後、対象者・日程・職種別の演習内容を設計してお見積りし、条件が合う場合のみお申し込みへ進みます。稟議に落とし込む段階ではClaude Code研修の稟議書、成果の測り方はClaude Code研修の効果測定、本研修の前に小さく試す設計はClaude Code研修のPoCをご覧ください。
よくあるご質問
エンジニアがいない会社でも受講できますか?
できます。当社の研修は非エンジニアの営業・事務・経理・企画職を対象に設計しています。Anthropicが2026年6月に公開した実利用調査では、主要な職業はいずれもコーディングタスクで平均するとソフトウェアエンジニアとほぼ同じ成功率だったと報告されており、成否を分けたのはコーディング経験ではなく対象領域の専門性でした。必要なのはプログラミング経験ではなく、対象業務の手順と例外を説明できることです。
管理職も受講すべきですか?
確認担当として受講することをお勧めします。出力が業務として正しいかを判断し、承認する権限を持つ人が研修に同席していると、受入基準と入力可否ルールがその場で決まります。管理職が操作に不慣れでも問題ありません。実装担当の隣に座り、判断を担当してもらう形で成立します。逆に、承認権限を持つ人が誰も参加していない研修は、成果物ができても本番運用の承認で止まります。
PCが苦手な社員は対象外ですか?
対象外ではありません。指定した場所へファイルを保存し、名前を変える操作ができれば受講できます。ここで手が止まる方が含まれる場合は、事前に環境準備を済ませ、当日は操作に慣れた社員を1名、支援役として同席させてください。この方は受講者に数えて構いません。ただし、対象業務を担当していない方は、PC操作の得手不得手にかかわらず研修後に使う場面がないため、名簿から外すことをお勧めします。
何人を選べばよいですか?
3つの役割が揃う最小人数から始めてください。当社の標準範囲は2〜10名です。2名の場合は、業務責任者と実装担当を1名が兼務し、もう1名が確認担当を担う形が現実的です。実装担当と確認担当を同一人物にすることだけは避けてください。作った本人が正しさを判定する体制は、本番運用で必ず問題になります。人数ごとの違いは少人数研修の記事で詳しく扱っています。
部署をまたいで受講させても大丈夫ですか?
対象業務が同じであれば問題ありません。分けるべきなのはレベル差ではなく題材の差です。部署が違っても同じ業務を扱うなら同席できます。一方、扱うデータの機密区分が異なる場合は、演習データを同じ場で扱えないため、情シスと入力可否ルールを先に決めるか、回を分けてください。複数の業務を1回の研修に持ち込むと、講師の支援が分散し、どちらも中途半端になります。
確認した一次情報
製品仕様と調査結果は更新されます。2026年8月20日に次の公式資料を確認しています。
- Anthropic「How Claude Code is used in practice」(2026年6月16日公開/2026年8月20日確認)/2025年10月〜2026年4月の約40万セッションの分析。計画判断と実行判断の分担、専門性と成功率の関係、職業別の成功率、タスク構成の変化
- Anthropic「Best practices for Claude Code」(2026年8月20日確認)/検証手段を用意すること、作業したもの自身に採点させない確認の設計
- Anthropic「Common workflows」(2026年8月20日確認)/実務で扱われる作業の型
- 厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コース改正:令和8年8月3日からの変更点について(PDF)」(2026年8月20日確認)/訓練内容に沿った対象労働者の選定に関する記載
3つの役割が揃うか、45分で確認します
無料AI業務診断(45分・オンライン)では、御社の業務からAIに任せられる候補を3つ整理し、それぞれについて業務責任者・実装担当・確認担当が社内に揃うかまで一緒に確認します。フォームには業務名と、その業務を説明できる人・出力を確認できる人がいるかをお書きください。揃わないと判断した場合は、名簿を作る前に何を決めるべきかをお伝えします。
無料AI業務診断を予約する(45分)