オンボーディング
新入社員向けClaude Code研修最初の30日で教えること

先に結論です。新入社員には、読み取り中心・架空データ・上司レビュー必須の3条件から始めます。早く使わせるほど良いのではなく、扱ってよい情報を自分で判別できるようになった順に、範囲を広げます。
| この記事の対象者 | 人事・新卒研修担当、情シス、配属先の管理職、少人数で新人を受け入れる経営者 |
|---|---|
| 判断期限 | アカウント方針と入力可否ルールは入社日の前。配属後の題材選定は配属から2週間以内。助成金を使う場合、計画届は訓練開始日の1か月前までです |
| 必要資料 | 情報管理規程、配属予定の職種一覧、会社管理アカウントの発行手順、演習用の架空データ、レビューを担当する先輩社員の氏名 |
| この記事の成果物 | 入社前から配属後30日までの段階比較表、扱ってよい情報の判別テスト、架空データによる3演習、上司レビューの提出証拠一覧、任せない業務の一覧 |
| 見送り条件 | 配属先が未定、レビューできる先輩社員がいない、会社管理のアカウントを発行できない。この場合は、業務での利用開始を配属後まで待ってください |
新入社員研修でClaude Codeを扱う目的
新入社員へAIツールを早く触らせたい、という相談は増えています。ただ、目的を「AIに慣れさせる」に置くと、研修は操作説明で終わります。目的は「扱ってよい情報を判別でき、AIの出力を検証してから使う習慣を最初に身につけさせること」に置いてください。この習慣は、あとから矯正するのが難しい部分です。
教育の場でAIツールを扱う動きは広がっています。Anthropicは2026年2月13日の発表で、米国の大学向けコンピュータサイエンス教育を提供するCodePathと提携し、ClaudeとClaude Codeを同団体のAI関連科目の中心に据えて2万人以上の学生が利用できるようにすると公表しています。同発表には、2025年秋に100名以上の学生がClaude Codeを使ってオープンソースプロジェクトへ貢献する試行を行い、学生からは「価値がある一方で難しかった」という評価が寄せられたことも記載されています。初学者にとって簡単な道具ではないという前提で設計するのが実務的です。
先に当社の立場を書きます。当社の12時間研修は「受講者自身の実業務を1つ選び、自社で回せる状態まで作る」形式のため、担当業務が決まっていない段階の新入社員には設計が合いません。本記事は、配属前後に社内で行うオンボーディングの設計として公開しています。標準の12時間で何を扱うかはClaude Code研修カリキュラム、受講者の選び方はClaude Code研修の対象者選定をご覧ください。
入社前・初日・1週目・配属後30日の到達点
段階ごとに、利用環境・データ・操作・レビュー者・合格の証拠を変えます。日数で機械的に進めるのではなく、前の段階の証拠が揃ってから次へ進めてください。
| 比較項目 | 入社前 | 初日 | 1週目 | 配属後30日 |
|---|---|---|---|---|
| 利用環境 | 利用させない | 会社管理アカウントを配付。演習用フォルダのみ | 同左。作業フォルダを職種別に分ける | 配属部署の指定フォルダ。上司が範囲を指定 |
| 扱うデータ | なし | 架空データのみ | 架空データ+匿名化データ | 上司が指定した範囲の実データ |
| 操作の範囲 | なし | 読み取りと要約。ファイルの書き換えはしない | 演習フォルダ内での整形・集計まで | 担当業務の下書き作成まで。送信・登録は人が行う |
| レビュー者 | — | 研修担当 | 研修担当 | 配属先の上司または指導役の先輩 |
| 合格の証拠 | — | 利用同意書、入力可否の判別テスト | 演習3件の提出物と、指摘への修正記録 | 担当業務1件の下書きと、上司の確認記録 |
初日の「読み取りと要約に限る」は、意図的な制限です。Anthropicの公式「Security」(2026年8月20日確認)によると、Manualモードでは読み取り権限から始まり、ファイルの編集やコマンドの実行が必要になるたびに利用者へ確認が入ります。また、起動したフォルダとその配下にのみ書き込め、親ディレクトリのファイルは明示的な許可なしに変更できないとも記載されています。この製品側の性質を、社内の段階設計にそのまま重ねるのが分かりやすい方法です。
最初に教えるデータ・権限・確認ルール
操作より先に教えるのは、次の3つです。順序を逆にすると、事故のあとで教えることになります。
| 教える内容 | 具体的に伝えること | 理解を確かめる方法 |
|---|---|---|
| 1. 入力してよい情報 | 社内の情報管理規程で定める区分。判断に迷う情報は入力しない、が原則 | 10件の例(顧客名簿、公開済みの製品情報、面接の評価メモなど)を見せ、可否を判別させる |
| 2. 使うアカウント | 会社が管理するアカウントのみ。個人のプランを業務で使わない | 配付したアカウントでログインできているか、実機で確認する |
| 3. 出力の確認 | AIの出力はそのまま使わない。必ず元の資料と突き合わせてから提出する | わざと誤りを含む出力を渡し、どこが間違っているか指摘させる |
2番については、契約の違いを説明できるようにしておいてください。Anthropicの公式「Data usage」(2026年8月20日確認)は、Free・Pro・Maxの個人向けプランについて、利用者がモデル改善へのデータ利用を許可する設定を選べ、その設定が有効な場合は新しいモデルの学習にデータが使われると説明しています。保持期間も、モデル改善を許可した場合は5年、許可しない場合は30日と記載されています。一方、Team・Enterprise・APIなどの商用条件では、顧客が明示的にオプトインしない限りコードやプロンプトを生成モデルの学習に使わないとされています。この差が、個人アカウントの業務利用を禁止する根拠になります。契約プランの選び方はClaudeの法人契約ガイド、社内ルールの作り方はClaude Codeを会社で使っていい?セキュリティと社内ルールの作り方にまとめています。
3番の「出力の確認」は、公式「Best practices for Claude Code」(2026年8月20日確認)が挙げる失敗パターンとも重なります。同ページは、もっともらしい実装が例外を扱えていない状態を「信頼したまま検証しない隙間」として挙げ、検証できないなら出荷しないと述べています。新入社員には「AIが間違えることがある」ではなく、「確認していないものは提出しない」という業務ルールとして伝えてください。
架空データで行う3つの演習
初日から1週目は、架空データで次の3演習を行います。いずれも実物と同じ様式・件数で作ったデータを使ってください。件数が少なすぎると、実務で困る場面が現れません。
| 演習 | やること | 身につくこと | 提出物 |
|---|---|---|---|
| 演習1:読んで要約する | 架空の議事録5件を読み、決定事項と宿題を一覧にする | 元資料と出力を突き合わせる習慣。書かれていないことを補わない感覚 | 一覧表と、元資料のどこを根拠にしたかのメモ |
| 演習2:整形して数える | 架空の請求データ30件を、表記ゆれを統一して取引先別に集計する | 例外への気づき。合計が合わないときに原因を探す手順 | 集計結果と、手作業で数えた検算結果 |
| 演習3:誤りを見つける | わざと誤りを3か所入れた出力を渡し、指摘して直す | 出力を疑う姿勢。指摘を言語化する力 | 指摘した箇所と、なぜ誤りだと判断したかの理由 |
演習2の「手作業で検算する」は省かないでください。合っているかどうかを自分で確かめた経験がないと、配属後に出力をそのまま提出します。公式「Best practices for Claude Code」も、合否が返ってくる検査を先に用意することを最初の項目として挙げ、うまくいったと主張させるのではなく、実行したことと結果という証拠を示させるよう勧めています。演習の提出物を「結果+根拠」の2点セットにしているのは、この考え方に合わせています。
なお、Claude Codeはコードのないフォルダでも同じように使えます。公式「Common workflows」(2026年8月20日確認)にも、ノートや文書のフォルダの中で起動して検索・編集・整理ができると記載があります。事務職の新入社員でも演習が成立するのは、この性質によります。事務・経理での活用例は非エンジニアの事務・経理こそClaude Codeをご覧ください。
配属職種別に変える題材
配属が決まったら、題材を職種に合わせます。ここで初めて、上司が指定した範囲の実データを扱います。
| 配属先 | 30日目までの題材(例) | まだ任せない範囲 |
|---|---|---|
| 営業・営業事務 | 商談メモからフォロー文案の下書きを作る | 顧客への直接送信、見積条件の判断 |
| 経理 | 請求書ファイルの命名規則をそろえる | 会計ソフトへの登録、勘定科目の最終判断 |
| 人事・総務 | 問い合わせメールを内容別に分類する | 応募者評価、規程の解釈 |
| 企画・マーケティング | アンケート自由回答を分類して集計する | 公開する文章の最終確定 |
共通しているのは、下書きまでを任せ、送信・登録・公開は人が行うという線引きです。新入社員は、自分の出力が業務としてどこまで正しいかをまだ判定できません。線を引くのは、能力を疑うためではなく、判定できる人を必ず経由させるためです。職種ごとの業務例は営業、経理、人事のページに整理しています。
上司レビューと提出証拠
配属後30日は、上司または指導役の先輩がレビューします。レビューを口頭だけで終わらせると、何を教えたかが残りません。次の4点を記録してください。
- 提出物:新入社員が作った下書きそのもの
- 根拠:元資料のどこを使ったか、本人の説明
- 指摘:どこを直すべきか、その理由
- 修正後:指摘を反映した結果と、次回に気をつけること
この記録は、新入社員の成長を見るためだけのものではありません。同じ指摘が3回続いたら、本人の問題ではなく手順書の問題です。入力可否ルールや業務手順書の書き方を直すきっかけとして使ってください。手順を社内へ残す設計はClaude Code社内講師の育成で扱っています。
個人アカウントと会社管理アカウントを混ぜない
新入社員は、学生時代に個人プランを使っていることがあります。使い慣れた環境をそのまま業務へ持ち込ませないでください。混在すると、次の3つが起きます。
| 起きること | なぜ問題か | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 学習利用と保持期間の条件が変わる | 個人向けプランは、モデル改善へのデータ利用を許可する設定が選べ、許可時は保持期間も5年とされている | 会社管理アカウントを配付し、個人アカウントの業務利用を規程で禁止する |
| 管理設定が適用されない | 組織の権限ルールや禁止設定が届かず、統制の外で作業される | ログイン方法や所属組織を管理設定で限定する |
| 成果物の所在が分からなくなる | 個人環境に手順が残り、退職・異動で失われる | 演習と業務のフォルダを会社側に固定し、そこから起動させる |
あわせて、端末に残る記録も把握しておいてください。公式「Data usage」(2026年8月20日確認)は、Claude Codeのクライアントがセッションの記録を ~/.claude/projects/ 配下に平文で既定30日間保存し、期間は cleanupPeriodDays で変更できるとしています。研修用の端末を使い回す場合、この点を情シスと共有しておく必要があります。管理側の設定項目はClaude Code管理者研修にまとめました。
新人研修に向かない本番業務
「せっかくだから実務で成果を出させたい」という要望はよく聞きますが、次の業務は新入社員の題材に向きません。
| 向かない業務 | 理由 | 代わりの選び方 |
|---|---|---|
| 基幹システムへ本番反映する業務 | 誤りの影響を本人が把握できず、戻す手順も知らない | 取込用ファイルを作るところまでにする |
| 顧客へ直接送る文書 | 誤りが社外へ出る。確認者を経由しない運用になりやすい | 下書きまでを担当し、送信は担当者が行う |
| 法令・契約の解釈が要る業務 | 正しさの判定に専門知識が必要で、AIの出力を検証できない | 資料の整理までにとどめ、解釈は担当部署へ回す |
| 正解が数か月後に分かる業務 | その場で合否を判定できず、学習にならない | その日のうちに正誤が分かる工程を選ぶ |
| 担当者が1名しかいない属人業務 | 手順が文書化されておらず、教える側も説明できない | 先に手順を書き出してから題材にする |
新入社員の成果を急ぐと、レビューの負荷が配属先へ集中します。30日で目指すのは成果ではなく、確認してから提出する習慣です。実務での成果は、担当業務が固まってから研修で取りに行くほうが早く、確実です。研修前に小さく試す設計はClaude Code研修のPoC設計にまとめています。
45分診断で配属後の候補業務を整理する
当社の45分の無料AI業務診断では、御社の業務からAIに任せられる候補を3つ整理します。新入社員の受け入れを検討している場合は、あわせて「新人に任せない範囲」も一緒に切り分けます。
申込フォームの「いま一番減らしたい業務」欄には、次の2点をお書きください。
- 配属予定の職種と人数
- 現在の新人教育で、指導役の時間を最も使っている業務
診断の結果、対象となる業務が固まっていない段階だと分かった場合は、その旨を率直にお伝えします。当社の12時間研修は担当業務が決まっている方向けの設計のため、新入社員だけを集めた受講はお勧めしていません。先輩社員が受講して業務を1つ仕上げ、その手順書を新入社員の教材として使う順序のほうが、現実的に回ります。人数と役割の決め方は少人数のClaude Code研修、オンラインでの実施準備はClaude Codeオンライン研修、教材の要件整理はClaude Code研修のカスタマイズをご覧ください。診断だけで終えていただいて構いません。
よくあるご質問
プログラミング未経験の新入社員でも受講できますか?
操作の面では問題ありません。Claude Codeへの指示は日本語の文章で行うため、プログラミングの知識は必要なく、当社の研修も非エンジニアの営業・事務・経理・企画職を想定して設計しています。ただし当社の12時間研修は「自分の実業務を1つ選び、自社で回せる状態まで作る」形式のため、担当業務が決まっていない段階の新入社員には設計が合いません。配属が決まり、繰り返し発生する業務を1つ挙げられるようになってからの受講をお勧めします。それまでは架空データでの操作習熟と、入力してよい情報の判別を社内で扱うのが現実的です。
新入社員に個人のプランを使わせてもよいですか?
業務では使わせないでください。Anthropicの公式「Data usage」(2026年8月20日確認)は、Free・Pro・Maxの個人向けプランについて、利用者がモデル改善へのデータ利用を許可する設定を選べ、その設定が有効なときは新しいモデルの学習にデータが使われると説明しています。保持期間も、モデル改善を許可した場合は5年、許可しない場合は30日と記載されています。一方、Team・Enterprise・APIなどの商用条件では、明示的にオプトインしない限りコードやプロンプトを生成モデルの学習に使わないとされています。会社が管理するアカウントを配付し、個人アカウントの業務利用を禁止する旨を規程へ明記してください。
本番データはいつから扱わせてよいですか?
配属後、上司が対象業務と入力可否の範囲を指定してからです。当社が勧める順序は、架空データで操作を覚える、匿名化データで手順の型を覚える、上司が指定した範囲の実データを扱う、の3段階です。判断の基準は経過日数ではなく、その新入社員が「この情報は入力してよいか」を自分で判別できるかどうかです。判別テストに合格していない段階で実データを渡すと、事故は本人の不注意ではなく設計の問題になります。扱える情報の区分は、社内の情報管理規程に沿って部署ごとに決めてください。
AIの利用量を新入社員の評価に使ってよいですか?
使わないでください。Anthropicの公式「Analytics」(2026年8月20日確認)は、管理画面のコントリビューション指標について、関与が高い確度で判断できる行とプルリクエストだけを数えるため、意図的に控えめで実際の影響を過小評価する数値であると注記しています。過小評価すると公式が明記している数字を個人の評価に使うと、指標を増やす行動が目的化します。新入社員の評価は、成果物が業務の基準を満たしたか、レビューで指摘された点を次に反映できたかで見てください。評価に利用状況を使う場合は、事前の説明と社内規程での明示が必要です。
新入社員研修に向かない業務はありますか?
あります。基幹システムへ本番反映する業務、顧客へ直接送る文書を最終確認なしに作る業務、法令や契約の解釈が必要な業務、正解が数か月後にしか分からない業務は、新入社員の題材に向きません。理由は難易度ではなく、誤りに気づける人が本人ではないことにあります。当社の研修でも、標準範囲は検証環境までとし、本番反映や実装代行は別契約としています。新入社員には、出力の正しさをその場で先輩が判定できる業務を選んでください。
確認した一次情報
製品仕様と制度は変更されます。2026年8月20日に次の公式資料を確認しています。
- Anthropic「Security」(2026年8月20日確認)/Manualモードが読み取り権限から始まること、作業ディレクトリ境界、信頼確認の仕組み
- Anthropic「Data usage」(2026年8月20日確認)/個人向けプランでのモデル改善設定と保持期間(許可時5年・不許可時30日)、商用条件での学習不使用、ローカル履歴の保存場所と既定期間
- Anthropic「Permissions」(2026年8月20日確認)/管理設定の権限ルールが最優先で上書きできないこと、denyがallowに優先すること
- Anthropic「Best practices for Claude Code」(2026年8月20日確認)/合否が返る検査を先に用意する設計、証拠を示させる考え方、検証しないまま信頼する失敗パターン
- Anthropic「Common workflows」(2026年8月20日確認)/ノートや文書フォルダなど非コードのディレクトリでも同じ手順で使えること
- Anthropic「Track team usage with analytics」(2026年8月20日確認)/コントリビューション指標が意図的に控えめで、実際の影響を過小評価する数値である旨
- Anthropic「Anthropic partners with CodePath」(2026年2月13日公開)(2026年8月20日確認)/CodePathとの提携、2万人以上の学生への提供、2025年秋に100名以上が参加した試行と学生の評価
- IPA「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」(2026年8月20日確認)/組織で生成AIを導入・運用する際の検討事項の整理
- 厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コース改正:令和8年8月3日からの変更点について(PDF)」(2026年8月20日確認)/対象外となる訓練内容の追加、汎用的なプロンプト研修の対象外例、受講回数の上限
- 厚生労働省「令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コースのご案内(令和8年8月3日版・PDF)」(2026年8月20日確認)/経費助成率75%、実訓練時間10時間以上100時間未満・中小企業の限度額30万円
配属後の候補業務と、新人に任せない範囲を整理します
無料AI業務診断(45分・オンライン)では、御社の業務からAIに任せられる候補を3つ整理し、あわせて新入社員にはまだ任せない範囲も切り分けます。フォームには、配属予定の職種と人数、現在の新人教育で指導役の時間を最も使っている業務をお書きください。当社の12時間研修は担当業務が決まっている方向けの設計のため、新入社員だけを集めた受講はお勧めしていません。その場合は、順序をご提案します。診断だけで終えていただいて構いません。
無料AI業務診断を予約する(45分)